第34回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会 会長
一般財団法人広南会広南病院 血管内脳神経外科 部長
松本 康史
ホームページ開設に際して
今年も3月11日が過ぎました。日本観測史上最大の地震が発生し、仙台では電気・ガス・水道が途絶しました。鉄道や飛行機は全面運休となり、ガソリンが不足して車も動かせなくなりました。電話・TV・インターネットも不通となっていたので、津波に襲われた宮城・岩手・福島の沿岸部の無惨な状況を知る術はありませんでした。尋常でないことが起こっている感覚はありましたが、それよりも自分たちが無事であったことを喜ぶ気持ちのほうが大きかった気がします。あれから7年が過ぎ、仙台は着実に復興をとげています。しかし、多くの被災した地域ではそうではありません。忘れてはならないことだと思っています。
ご挨拶
2018年3月吉日
このたび、第34回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会を開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。伝統ある本会を主催させていただくこと、心から光栄に思っております。この場をお借りして、ご指導ご鞭撻をいただいた先輩方、そして全ての会員の皆様に深く御礼申し上げます。
仙台での開催は、吉本高志会長の第9回、高橋明会長の第16回、そして江面正幸会長の第28回に続きまして、今回で4度目となります。初期のころ固定開催地であった名古屋を除くと、最多となります。前三代の会長が築き上げてきた信頼を損なうことがないよう、背筋を伸ばし、精一杯努めさせていただきます。前三代の会長の所属は東北大学もしくは仙台医療センターであり、広南病院所属の会長は今回が初めてであります。広南病院に育てていただいた私としては、本会を成功させることが幾許かの恩返しになればと思っております。
学術集会のテーマとしては一風変わっているかと思いますが、今回のテーマは
『悠々として急げ』
としました。これは私の憧れの作家、開高健の遺した言葉です。題字は公益財団法人開高健記念会から許可をいただき、当人の自書を使用させていただいております。似たような格言にFestina lente(直訳:ゆっくり急げ)があります。これは、ローマ帝国の初代皇帝であるアウグストゥスが好んだ言葉として知られており、最近ではバラク・オバマ前米国大統領も好んで使っていました。一刻を争う血栓回収療法時、術中合併症に直面した時、治療戦略を立てる時、脳血管内治療医としてのキャリアプランを考える時、いずれの場面でも『悠々として急げ』という格言は符合しているように思います。なによりも、私が人生多くを賭してきた日本脳神経血管内治療学会を主催させて頂く一生に一度の機会ですので、僭越乍ら私の大好きな言葉をテーマとさせていただきました。
会場は、従来から使われていた仙台国際センター「会議棟」に加え、平成27年に完成した「展示棟」を使用します。展示棟は3000㎡無柱の展示室を中心とし、会議棟に隣接しております。仙台市営地下鉄東西線の「国際センター駅」が開業しており、仙台駅から5分で現着します。仙台空港から仙台駅までは仙台空港アクセス鉄道で快速なら17分ですから、乗り換え時間を含めなければ22分で空港から会場まで到着することになります。会場の広さ、周辺ロケーション、アクセスの良さは必ずや皆様にご満足いただけるものと確信しております。
第34回NPO法人日本脳神経血管内治療学会学術総会が皆様にとって充実した会になるよう、『悠々として急げ』を胸に、これからの数ヶ月間全力で準備を進めて参ります。ご支援の程、何卒宜しくお願い申し上げます。